ガリレオについての本を2冊読み終わって、子どもの頃に植え付けられた先入観とは恐ろしいものだと思った。ガリレオと地動説とキリスト教の関わりについて、あまりにも単純で短絡的なイメージが頭の中で凝り固まっていたから。本に書いてある通りのことを理解するのに3回も再読する必要があった。 「キリスト教は地動説を禁じていた」⇒「地動説を説いたガリレオは宗教裁判にかけられた」 という因果関係で覚えていたが、実際は、 「地動説を説いたガリレオが宗教裁判にかけられた」⇒「科学者が公に地動説を論じることができなくなった」 と言う方が適切と理解した。

デカルトも、ガリレオ裁判の判決を知ってから、地動説についてガッツリ述べている自著の出版を死後まで延期せざるを得なくなった。 なお、ケプラーのいたドイツやニュートンのいた英国では、地動説を自由に論じることができたので、ガリレオ裁判後も地動説は死ななかった。 ガリレオ裁判前のカトリックは、地動説に対してそれほど不寛容ではなかった。聖職者によって温度差があった。「異端だ」と非難する人もいれば、称賛する人もいた。そもそもコペルニクスの地動説に関する書はローマ教皇に献呈され、カトリックの聖職者の間で熱心に読まれた。