#hustプラス 🦁 「これは、どうかしたのかな。」と穏やかな声色で私に話しかけてくれた。 恐れ多くも密かに恋心を抱く私にとって、彼の黄金色の瞳がこちらに視線を向けられている。これは嬉しすぎるご褒美を通り越している。 すぐに卒倒しそうな状況の中、私はどうやって返事を返せばいいのだろう。 『え、っと…』と私の手の中には目の前の彼に渡す小包が入った紙袋がある。 これを渡して一言をいうだけで終わりなのに、言葉が詰まりすぎて何も出てこない。 この状況は大変よろしくない。打開したいが思考回路がショートを起こしててあれだけ脳内シュミレーションしたものが全部吹っ飛んでいる。 →

すっかり茹でダコのように赤くなった顔は耳まで真っ赤になり、全部吹っ飛んだ思考の中で無言のまま少しだけシワがついてしまった小さい紙袋を差し出した。 このあと何を言って渡したかなんて、覚えちゃいない。 この場を早く切り抜けたかったために、何も言わないままだったのかもしれない。 だがふたつだけわかったことはある。 彼は目元を緩ませ、ニコリと微笑んでくれたこと。 このあと、ショート通り越して爆発してしまった私の思考はぶつんと切れたように真っ暗になった。 意識を手放す刹那、優しい声色で「君の可愛らしい贈り物に感謝を。」と告げていたことだけだった。