付き合ってるトとジェは、どちらも基本的に温和で仲良しなんだけど、どちらも性格が捻くれているので意地の悪い台詞を言うことも多く、周囲からは口喧嘩に見えてしまうこともある ただ本人たちからすれば軽口の叩き合いでしかなく、どこまでもカップルのじゃれあいの域を出ないものだ 問題はトがジェを「つまらない奴」と呼んだ時である 一般的には大した言葉でないが、ジェにとって「つまらない」は最大級の侮蔑であり、トもそれを知っているので、この言葉が出た時はガチギレの合図でもある こうなればしばらくは喧嘩を引きずるので、2人の間で「つまらない」はできるだけ何があっても言わないようにしてるのだとか ※トレジェイ

状況がよく分からなくて立ちすくむトに「ウ三ガメくんじゃん」と最初に気付いたのはフロで、続いてジェがブリキの人形みたいにゆっくりこちらを向く ジェはトを認識するや否や、さっきまでの笑顔から一転してスンッといつもの澄ました顔で「おやどうされました？」と言うけど微妙に引きつってるし、フロも「いや今更ごまかせねーから」と言うし、ここでなんとなく理解するト 平静を装って実はトのお菓子にめちゃくちゃ喜んでいたジェと、そんなギャップを見せられてジェに今までに無い感情を抱くトの話 ※トレジェイ

※トレジェイ サイ工ンス部の活動でも、トは頻繁にお菓子を作っては部員に配っている そういうとき植物園にたまにジェがいて、世話好きなトはついつい近寄ってはお菓子を与えるんだけど、他の生徒と違ってジェは微笑みながら礼を言うだけで反応が薄いからあまり喜んでないのかとトは思う あくる日も、植物園でたまたまジェと出くわして手持ちのお菓子をあげるトと、いつものように涼しい顔で受け取るジェ でも、直後に別の用事でオクタヴィネルを訪問したトは目撃してしまう 「見てください！トレイさんのお菓子です！」と見たことのない笑顔で自慢げにお菓子を掲げているジェと、「もう聞き飽きたぁ」と憤慨するフロの姿を

ハ一ツのモブ4年生が研修から帰ってきて寮に顔を出したところ、トに恋人ができたという噂を聞いたので 「おとなしくて寮長最優先だったあの男に『恋人』ねぇ。さぞ溺愛してんだろうなぁ」 と祝福ついでにちょっと揶揄ってやろうと悪い先輩の顔で見に行ったら 『恋人』とやらはめっちゃ性格の悪い人魚だったし トも『恋人』の悪事を止めようとせずニコニコ見守ってるし そんなわけで当然のように悪辣カップルとして名を馳せていたので 「俺がいない1年間に一体何が……？」と戸惑う話 なお、トは先輩に対しては無害な後輩を演じていただけで、本質は変わっていない ※トレジェイ

卒業後数年して再会したトとジェが一緒にご飯行くことになるんだけど、昔話をしている内にジェが「卜レイさんってフ口イドを好きでしたよね」なんて言い出して、トは「フロ……！？え、なん、」とむせることになる 「よくフ口イドを見ていましたよね。一緒にいる僕まで視線を感じました。ご安心ください、アズ一ﾉﾚにも言っていませんし、今更弱みとして脅そうだなんて考えていないので」と他人事のように淡々と述べるジェに対して、「見ていたのはジェイ卜゛だし、何なら今も好きだ」とは言い出せないト そして再会以来トがフロのことを気にする素振りを見せないので、もう未練はないのだと思って安堵するまだ無自覚ジェ ※トレジェイ

後々ジェから告白されて、ジェが好きな人の前では緊張して口数が少なくなるという意外な一面と、自分もジェのことを好いていたことを知るのだった なお、付き合って数日後にはジェの緊張も緩和されてよく回る口も戻ってくる 相変わらずロクにこっちの話も聞かず自分の好きなことばかり話すジェだけど、やっぱり自分の興味関心に真っ直ぐなジェが可愛いと思うト ※トレジェイ

※トレジェイ トのジェに対する印象は「真面目な苦労性」から「物騒」に変わったけれど、その後警戒しつつも交流していくうちに、契約の対象として目を付けられない限りは「よく喋る無邪気な後輩」でしかないことに気付く ジェもまたトを「お喋りに付き合ってくれる相手」と認識したらしく、自身の興味あるテーマについて度々トに熱弁を振るっていた それが、ある日を境にジェのマシンガントークが鳴りを潜める トの話に相づちを打つばかりで、自分から積極的に話すことが殆どなくなる あまりに突然の変化に、トは嫌われただろうかと思ってショックを受け、同時にどうして自分はショックを受けているのだろうと疑問にも思う

人気の無い場所で、地面に転がした債務者の頭を踏みつけているジェを、トは目撃してしまう 入学式の一件でジェの悪辣さは理解したつもりだったけれど、実際に見る「お仕事」のインパクトは想像以上だった 以来、トはさりげなくジェを避けるように それなのにジェは以前よりトの周りをうろつくようになる あるときは三年の教室に、あるときはハ一ツラビュﾉﾚ寮に、普段なら現れないようなところにまで来てはトの姿を探している 口封じするつもりだと思ってますます逃げ回るトと、 実はトに片思い中で、取り立て業務の悪印象を払拭したくて追いかけ回すジェによる、 すれ違い鬼ごっこの開幕である ※トレジェイ

「聞きたいことは山ほどあるが……いえ、あとにしましょう。 しかし、卜レイさんがお前に嫌々付き合わされていて、本心では嫌っている可能性もあるでしょう。その場合、魔法薬は成功品ということになる」 「あり得ません。『大好き』と言ってもらったら、今度は声が震えませんでした」 「はあ？『好き』は嘘で『大好き』は真実だと？」 「どうやら魔法薬の判定が厳密すぎるようです。卜レイさんは僕のことが『大好き』なので、『好き』だと嘘判定になってしまうみたいですね」 「自動車教習所の試験か？」 ※トレジェイ(?)

※トレジェイ(?) 「アズ一ﾉﾚ、報告です。試作品の『飲んだ者が嘘をつくと声が震える魔法薬』を人間相手に試してみました」 「どうでしたか？」 「卜レイさんに魔法薬を飲んで『好き』と言ってもらいましたが、その声が震えて聞こえました」 「あの腹の知れない男に飲ませたんですか？しかもお前、彼に嫌われていたんですね。可哀想に」 「いいえ、卜レイさんが僕を嫌うはずはありません。彼とはお付き合いしているので」 「……は？聞いていませんが？」 「言っていませんから。ともかく、魔法薬は失敗作です」