お金の稼ぎ方はそれぞれ違っていて他人がとやかく言うことではないが、ライターは書くことを止めた途端に能力が衰え始める職業なのでずっと稼働し続けていることが大事だと思う。ああ、書かないからなんだな、書くことに熱意が無くなったんだな、と思う事例をずっと見続けてきた。 自分よりキャリアや年齢が上で、第一線で活躍し続け、余計な色目を使わずに生きている方はそれだけで尊敬する。同業者だからわかるが、大変な努力をしておられると思う。

最後まで北上次郎であり続けた目黒考二さんを尊敬するのはその点で、『日本ハードボイルド全集　傑作集』で共同執筆の解説を先に仕上げて逝かれたときには、敵わないな、と思った。あそこまでライターに徹することが自分にもできるだろうか。 書けるかもしれないけど別の稼ぎ方を選んだ方、書くことに倦んだのか過去の業績の切り売りしかしなくなった方を同じようには尊敬できない。書くことが好きじゃなかったんですね、もう別の道に行ったのだからもうこれきりですね、と思うだけである。