秋バラの便りが本格的に届くようになりました。バラは中世ヨーロッパでも特別な位置付けにある花であり、現在も半年ごとに美しい姿を愛でることができます。荒んだ心をすっと癒すその力は、古の時代からとても大事にされた「花の女王」としての証なんでしょうね。 個人的にはバラの香りがもっとも強いされる早朝の時間帯の散策をお勧めしております。気温がグッと下がっている今の時期の朝は特に高貴な香りがすると思います。 ローズガーデンや植物園によっては早朝開園をしているところもありますので、もし機会があれば朝方にぜひ行ってみてください。

中世ヨーロッパ料理をアレンジする際、入手困難な食材は代用品を提案することが多いんですが、その代用をなるべく避けているのが「酸味系調味料（お酢）」。 中世系料理は酸味調味料としてワインビネガーを使うことが多いんですが、たとえば米酢にうっかり変えちゃうとだいぶ味が変わってしまうので、可能な限りビネガーの利用を推奨しております。 中世ヨーロッパをはじめとした昔の時代は、強い味が故に「体内に蔓延る悪魔（毒素）を体内から出すことができるもの」と信じられていたようで、病に伏せた際にも一部用いられていたとされます。度々訪れた疫病の時期でも、ビネガーはかなりの頻度で使われていたようです。

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中世ヨーロッパの食文化に興味を持ち始めた頃にほとんど聞くことのなかった食材が、ここ数年で少しずつ認知度を広げるようになりました。ホットワイン、エルダーシロップ、蜂蜜酒にレンズ豆やひよこ豆、ローズウォーター。 中世以前から使われた食材が後世になって見直されることは、個人的にもけっこう嬉しかったりします。 その食材そのものが持つホッとするような味や食感は、昔も今も大きく変わることはあまりありません。もし巷でおみかけする機会がありましたら、ぜひどんなものか試して頂けばいいなと思います。

「デメララシュガー」という、いかにも名前が可愛らしいお砂糖があるんですが、日本国内ではそうそうお見かけすることがない種類。味としてはざらめときび砂糖を併せ持った感じなんですが、これをりんごパイの上にふりかけて焼くと大変美味なんです（個人的には中世ヨーロッパにもあって欲しかった）。 「デメララ」というのは南米大陸・ガイアナ共和国の地名で、かつてはイギリスの植民地だったこともあり、そこで作られたお砂糖とのこと（たぶん）。国名の由来が「水の国」とのことで、昔から豊かな大地だからこそ作ることができた逸品なのかもしれないです。

北欧の森の実のひとつである「リンゴンベリー（またはカウベリー）」はコケモモの英名で、甘酸っぱい味が大きな特徴です。主に寒冷地で育ちますが、葉は極寒の季節でも抜け落ちることがありません（強い）。中世ヨーロッパでもベリーを使ったソースのレシピが若干残っているので、場所によってはこの実を使っていたかもしれないです。 リンゴンベリーなどがたくさん採れるフィンランドでは、「自然享受権」という制度があります。私有地でないところであれば自由に立ち入って木の実などを採ってもいいよ、という権利です。自然との共存をとても大事にする、北欧ならではの考え方は個人的にも大変感銘をうけます。

10月に入った途端、朝晩の空気がぐっと秋モードに変わり始めましたが、植物たちは急激な変化に多少困惑している模様です(そりゃそうだ)。昔は徐々に気温や空気が変わるのを感知して秋支度を始めていたでしょうが、ついていけずに葉や花が傷んでくるのがそこそこ心配だったりします。 現在はそこまで気にすることはないと思うんですが、芳香性のある花やハーブの育成状況によっては例年より香りが薄まることがあります。古来から魔除けスキルで必要不可欠だったのがまさにその香り。昔は芳香性植物が正常に育たないと、「悪しき災難に見舞われる」と信じられていたんじゃないかと思います。香りの変化は不安の予兆でもありますからね。

朝晩ヒンヤリ、お鍋の季節になりました。中世ヨーロッパではコトコト煮込んだスープが多くの街や村、城で作られ、人々の身体を温かくしてくれました。季節柄、狩猟で得た肉を加えた豪勢なものから、質素な食材のみを扱う修道士が作るもの。昔から栄養満点で種類が豊富な料理であることに変わりはありません。 スープといっても具材も実にさまざまでして、大麦入りスープ、西洋ファンタジー世界にありそうな塩気強めの鶏とキャベツのスープ、修道院の豆のスープと、住んでいる地域や採れる食材、階級によってだいぶ異なったりします。いずれもポカポカあったまるのは古今東西、共通事項なんですけどね。

【ご案内】 ここ最近、こちらのフォロー数が地味～に増えており至極恐縮です（大感謝）。メインは某バッテン印のSNSで最新うんちくをご紹介していますが、アルゴリズム的ななんやかんやでほとんど自分のTLに流れない！というご意見を多数いただいておりますため、10月から既存の中世ヨーロッパ系ネタの過去投稿に加えて最新版のうんちくネタもこちらへの投稿比率を多くします（全部は無理かもですが）。 通常時は1～2日の更新、主催イベントなどで猛烈繁忙期の時は週1～2回程度の更新となります。 ご都合のよい媒体やSNSで引き続きなんとなーくご笑覧頂けますとこれ幸甚です。引き続きよしなに願います<m(_ _)m>。

某SNSの方にものっけていますが、今月からまっさおお空なブルースカイアカウントの方にも連動で紹介投稿します。基本的に毎週金曜日前後にこネタ系は読み物サイト「note」で更新していますので、ご興味ありましたらぜひにどぞ。 ※ド繁忙期はちょっとお休みしてますスミマセン<m(_ _)m> #notenote.com/moyan_recipe...

【中世欧州料理試作】（16）かぶのスープ｜繻 鳳花

このコラムでは、過去試作してご紹介した中世ヨーロッパのアレンジ料理についてちまちまご紹介します。 全部実試作つき＆単純に自分の感想や所感なども書きなぐってます。基本的に全部美味しいんですけど、一部「？！！？（なんともいえない味）」ってものもありますので、そのあたりも正直に書いときます。 ■あっさりとした塩味ベースのほっこりスープ 野菜のかぶ is 美味（唐突）。 春かぶと秋かぶ、旬は年2...